卒業式の後で ２

階段を上る。
なんであたしの教室は４階なんだろう。
途中でイヤになってきて、のろのろと段を上がる。
２段飛ばしや３段飛ばしが楽しかったのは、いつだったっけ。
あれは…いつだっけ、いつだっけ、
この階段じゃないことは確かだな。
ここじゃないってことは、小学校だ。
あたしのあたまの中の目の中を
さらさら髪がふわりふわり、
いつかのあたしが
２段飛ばしで階段を上ってく。
「よーし、つぎは３段飛ばしダ」
あれは何年だ？何年生のときだったかな。
ああ、やっと４階だ。

閉まったカーテンの隙間から、光がゆらゆら廊下を照らす。
開かない窓から入る風があるはずないのに、
光がゆったり揺れている。
光が当たるのにほの暗い。
そういえばここはいつもこうだった。
風が無いのに揺れていて、光があるのにほの暗い。
なんでいままで気がつかなかったんだろう。

はしっこは視聴覚準備室。
その次は４組
その次が３組

風が無いのに光が揺れるほの暗くてヒンヤリする廊下を
靴下のままのあたしは歩いてる。
そうか、やっぱり今は誰もいないんだ。

次は２組
そして、１組。
ソレより先は行き止まり。

あたしは閉まってる扉を開けた。
カタリと小さく音がした。

つづく